3.「最強の布陣」を作る!実務的なメニュー構成

前回のブログでは、販売データに基づいた「ABC 分析」によって、メニューの役割を A・B・C の 3 つのランクに整理する方法を解説しました。

今回はさらに一歩踏み込み、「分析結果をどう実務に落とし込むか」に焦点を当てます。

 

具体的には、理想的なメニューの組み方、お店を象徴する「スペシャリティ」の導入法、そして構成上の注意点について今回以降に詳しくお伝えします。

 

「粗利益の ABC 分析」で「現状」を把握した次は、いよいよ「攻め」のメニュー作りです。利益を最大化しつつ、お客様の満足度を引き上げるための 3 つのステップを見ていきましょう。

 

 

 

I. メニュー数は「絞り込み」が正解

メニュー数が多すぎると、お客様は選ぶことに迷いを感じ、中々決められず、混乱します。

 

また、メニュー内容がすぐに理解できず、結局、一番価格の安いメニューの次に高いものを選んでしまいます。

 

これは、メニュー選びのお客様の心理として、「他の選択肢の方が良かったかも」という後悔を恐れて、「最善の選択をしなければ」というプレッシャーが強まり、決断が難しくなるためです。

 

一方、厨房ではメニュー選びに時間が掛かり、段取に不備が生じ、料理の提供速度は遅くなります。食材は多数のメニューに対応するため、負担が増えて食材ロスを招きます。

 

こうした調理の遅れにより、発生した非効率がお客様の不満となってお店の信頼を低下させてしまうのです。

 

これは、決定回避の法則といわれるお客様の失敗したくない、迷った挙句に、何かを選ばなければという心理が働き、しかし、一番安い料理を選んで見下されたくないという心理が働いた結果です。

 

回避決定の法則とは、選択肢が多いほど興味は引くが、決断はしにくくなり、1990年代、京都大学で教鞭をとられたシーナ・アイエンガー教授の実験で24種のジャムと6種のジャムを販売棚にそれぞれ並べて販売をする比較実験を行いました。結果は、6種類のジャムは24種類のジャムの10倍販売したという結果でした。

24種のジャムは、立ち寄った人は多かったが、購入率は6種のジャムより低かったのです。従って、私たちは次のように結論付けることができます。

 

メニューのアイテム数は、たくさんの選択肢があれば、お客様の興味は得られるが決定に時間が掛かり、時に不本意なものを選んでしまい、不満が残る結果となり得る、と結論付けることができます。

 

 

IIメニュー決定の黄金比

調理場では調理の効率と満足度を両立させる、時間帯別のアイテム数の目安は以下の通りです。

 

ランチ営業(5〜8 アイテム) : 目的は高回転と提供スピードの最大化です。分析で特定した「A ランク(人気も利益も高い)」商品に絞り込み、オペレーションの負荷を軽減しましょう。

 

ディナー営業(15〜20 アイテム): 客単価の向上と「選ぶ楽しさ」を提供します。主力商品に加え、粗利額の最大化を狙う戦略的なメニュー配置が重要です。

 

 

III【洋食】イタリアン・フレンチと【割烹】の構成

洋食ではコースの正統な流れに沿って、カテゴリーごとに 3〜5 アイテムを配置するのが理想的です。

 

スペシャリティはメインだけでなく、各カテゴリーに「A ランク(人気も利益も高い)」商品として配置することで、満足度を底上げできます。

 

1アンティパスト・オードブル・先付(前菜):4〜5 品

【戦略】最初の決断をスムーズにし、オペレーションの負荷を軽減し、お客様にこれから始まるお料理に対する期待感を最大限引き出します。

 

2プリモピアット(パスタ・リゾット・スープ)アントレ・ポタージュ・お造り:4〜5 品

【戦略】 ここに「当店でしか味わえない料理」などのスペシャリティを配置します。「当店の自慢料理」を目当てに来店するお客様を増やす「攻め」の配置です。

 

3セコンドピアット(肉・魚料理)・ブラ・焼物・煮物・:4〜5 品(割烹では6〜8品)

【戦略】粗利額の最大化を狙う主力商品を厳選し、フレンチでは粗利額の最大化を狙う主力商品では、ソースの調理のためにも、品数を厳選します。

 

割烹では、各調理法ごとに、「これぞ」という一品に絞り込み、提供スピードを最大化します。

 

4 ドルチェ・デザート・:2〜3 品(割烹ではお食事・甘味で3〜4品)

【戦略】 「このドルチェのためにまた来たい」と思わせる看板デザートを配置し、最後の一押しで満足度を最大化します。満足感を充足し、後悔を防ぎます。

 

 

まとめ:カテゴリー内の「絞り込み」が満足度を作る

どの業態においても、各カテゴリーを 3〜5 品、全体で 15〜20 品に収めることで、お客様は「迷うストレス」から解放され、心から食事を楽しめるようになります。

 

スペシャリティは、コースの随所に散りばめても良いのです。むしろ、パスタやデザートに強力な看板料理があることは、再来店を促す大きな動機になります。

 

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