「メニューを増やせば、お客様は喜んでくれるはず」 そう思って、気づけば数え切れないほどの料理が並んでいませんか?
実は、メニューが多すぎるとお客様は「選ぶストレス」を感じ、お店側は「仕込みの負担」と「食材ロス」が増えるという、負のスパイラルに陥ってしまいます。
今回は、飲食店が「3 ヶ月〜6 ヶ月の販売データ」を使って、どのメニューを残し、どれを改善すべきかを判断する「ABC 分析」の具体的な活用術を解説します。
I. なぜ「3 ヶ月〜6 ヶ月」のデータが必要なのか?
1 ヶ月だけのデータでは、季節や天候、たまたま入った宴会の影響で数字が偏ることがあります。
3 ヶ月〜6 ヶ月という中長期的なスパンで見ることで、一時的なブームではなく「本当に愛されている商品」徐々に人気が落ちている「賞味期限切れの商品」 を正確にあぶり出すことができます。
更に凝り性のオーナー様が気になる商品があれば、その商品を 1 か月ごとに時系列で折れ線グラフを作成すると、その商品がどのような状態か、より解り易くなります。
II. ランク別の「正体」と「経営者が取るべきアクション」
商品ごとの構成比で分けた A・B・C ランクには、それぞれ明確な役割があります。
実際に、商品ごとの粗利益をランク付けするには、粗利益=売上―材料費(ここではロス・歩留は材料費にふくめて説明しています)で、上の計算式にしたがって、商品ごとに、粗利益を計算します。
詳しくは、下記の ABC 分析フォーマットの「1.商品別売上粗利益 ABC 分析表」を参照してください。
なお、パレート図を添付しましたが、エクセルに組み込まれたメニューから、パレート図を作成しています。
エクセルのパレート図はパレート図本来の規定に沿ってはいませんが、より簡単に作成できるため、エクセルメニューのグラフに組込まれたパレート図使用しています。
【A ランク】お店の「顔」:売上の 70〜80%を支えるエース
お客様がその店に来る「理由」となる商品です。
状態: 常に安定して注文が入る。
経営判断:
「絶対に品質を落とさない」: ここがブレると、客離れに直結します。
「オペレーションの最優先」: 最も効率よく提供できる動線を確保します。
「コストの微調整」 : 販売数が多いため、食材の仕入れルートを見直して原価を数円下げるだけで、月末の利益が大きく変わります。
【B ランク】お店の「脇役」:A ランクへの昇格を待つ予備軍
「いつも同じものだと飽きるな」というリピーターを支える重要な商品です。
状態: そこそこ売れているが、爆発力はない。
経営判断:
「スター候補の選別」: 「もう少し露出を増やせば A ランクにいけるか?」を検討します。
「セット販売の活用」: A ランク商品と組み合わせて「お得なセット」にし、注文数を底上げします。
「利益率の改善」: 売上の中核を担うため、少し値上げをしても影響が出にくいのがこの層です。
【C ランク】お店の「お荷物」:利益を削る「隠れたコスト」
「昔からの定番だから」「たまに頼む人がいるから」と残されがちな商品です。
状態: ほとんど注文が入らず、食材ロスや仕込みの手間だけが発生している。
経営判断:
「勇気を持って削除(卒業)」: C ランクを削ることで、メニューブックが見やすくなり、本当に売りたい商品にお客様の視線が集中します。
「共通食材化」 : どうしても残すなら、他のメニューと食材を共通化し、専用の在庫を持たないようにします。
「役割の再定義」 : 注文は少ないが「原価率が極めて低く、利益に貢献する」もの以外は、廃止を検討しましょう。
III. 成功する「引き算の経営」
飲食店にとって最大の敵は「複雑さ」です。
ABC 分析で C ランクの商品を削ることは、決して「サービス低下」ではありません。
「C ランクを削り、空いた時間とコストを A ランクのブラッシュアップに充てる」これこそが、お客様の満足度を上げながら、利益をしっかり残すための最短ルートです。
直近 3 ヶ月のレジデータを取り出し、上位から順に並べてみてください。 「えっ、あんなに手間をかけている料理が、実はこれしか売れていなかったの?」という驚きが、経営改善の第一歩になります。
まとめ:数字は「次の一手」を教えてくれる
感情でメニューを決めると迷いが出ますが、数字で決めると経営はシンプルになります。
季節ごとにこの健康診断を行い、常に「筋肉質なメニュー構成」を維持していきましょう。
少し、面倒に感じられかもしれませんが、ぜひオーナー様のお店の利益を上げる仕組みを深堀してみましょう。
あなたの努力が、お店が輝く秘訣となるよう応援します。
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